ニホンウナギの資源管理が課題となる中、ウナギの見た目や食感を似せて作った代替品の需要が高まっている。先端技術を使い食材を人工的に生み出すフードテックの発展に伴い再現性も向上。植物由来の原料や練り製品を加工して再現したさまざまな代替品が登場し、7月30日の土用の丑の日を前に完売も相次ぐ。稚魚不漁によるウナギの高騰も追い風に、さらなる市場拡大が期待される。
日清食品が18日正午、見た目や食感もそっくりに仕上げた「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」をオンラインで販売したところ、わずか1分で限定1千食を完売した。同社の即席麺「カップヌードル」の具材である大豆ベースの材料などで肉を再現した「謎肉」の技術を応用し、身と皮の間にあるウナギ独特の脂身なども表現した。動物由来の原料を使わず、植物由来の原料だけで本物に近い味と食感を目指したという。
1尾分の価格は1620円。本物のかば焼きは国産ウナギで2千円台、中国産で1千円台で販売されており、その中間の価格を設定した。同社は「食べたお客さまの反応を見て、再販や来年以降の販売も検討したい」と前向きだ。
日清よりも先んじてウナギの代替品市場を開拓したのが、カネテツデリカフーズ(神戸市)の「ほぼうなぎ」だ。「ほぼカニ」や「ほぼホタテ」など、魚肉を原料に代替品を再現する同社の「ほぼシリーズ」で培った技術を活用。白身魚のすり身を使った練り物をウナギ風に仕立てた。静岡県内のかば焼き工場でウナギと同じ工程でタレを塗り、焼き上げることでより本物に近づけている。
ほぼうなぎは平成30年から土用の丑の日を前に販売しているが、毎年完売が続く人気商品に育っている。1尾の約3分の2の大きさで価格は898円。今年は免疫力向上が期待される亜鉛の含有量を本物よりも増やし、健康面でも配慮した。今年は前年の3倍の量を準備して6月23日から販売したところ、今月25日に完売。「魚介類が苦手でもこれなら食べられるといった声もある」(同社)といい、市場創出につなげている。
資源不足を補うこうしたフェイク食材は、世界人口の増加や食料不足などを背景に市場拡大が予測される。矢野経済研究所によると、植物由来肉や培養肉など代替タンパク質の世界市場が2021年に前年比25・4%増の4861億円になったと試算。25年には1兆1919億円、30年には3兆3113億円に成長するとみている。
吉野家でゴールドプリカチャージして鰻重食べたほうがいい
謎うなぎは300円なら妥当
油揚げもなかなか